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悪意の受益者という主張について
1 悪意の受益者否定の主張とは
過払金の請求に対する貸金業者からの反論の1つに、悪意の受益者性を否定するというものがあります。
最判平成19年7月13日では、みなし弁済規定の適用がない場合、貸金業者は民法704条の悪意の受益者であると推定されると判示しています。
また、最判平成23年12月1日では、旧貸金業法17条が定める書面に確定的な返済期間、返済回数、各回の返済金額の記載に準じる記載がない場合、みなし弁済が成立する余地はなく、みなし弁済の適用があると認識を有したことにつきやむを得ないといえる特段の事情は存在せず、貸金業者は悪意の受益者であると判断しました。
そのため、この判決以降悪意の受益者性について主張してくる貸金業者はほぼなくなりましたが、現在でもこの部分を主張してくる業者が存在します。
2 どのように争うことになるのか
最判平成23年12月1日は、返済期間、返済回数だけでなく、各回の返済金額も確定的な記載をすることを求めています。
そのため、まずはこの記載がないということを指摘していくということになります。
債務者の側で複雑な計算を行わなければ各回の支払額の総額を算出できないような場合には、上記の確定的な記載がなされているとはいえないため、みなし弁済が成立する余地はありません。
3 自分自身で反論を行うのは困難
上記のとおり、今日では悪意の受益者性に関する論点を争っても、貸金業者側に利益がないようにも思われますが、それでもこの点を主張してくる業者は一定数存在します。
自身で過払い金の請求を行い、貸金業者側の主張に対する反論を行うことはもちろん可能ではありますが、とはいえその内容は非常に専門的であり、普段から慣れ親しんでいる方でなければ理解は難しいです。
そのため、現実的には弁護士に依頼したうえで過払い金の請求をしていくことになるでしょう。
まずは過払い金の請求になれている弁護士にご相談ください。