Q&A
過払い金の返還請求訴訟では、同じ争点であっても裁判官によって結論が変わることがあるのですか?
1 過払い金をめぐる争点
過払い金の請求については、この10数年で非常に多くの裁判が行われており、ある程度定型化している部分もあるため、比較的容易な事件だと思われることが多いです。
ただ、現在でも様々な争点が存在するため、スムーズに請求から回収まで進むケースもあれば、貸金業者側が徹底して争ってくるというケースもあります。
2 裁判官によって判断が変わることがあるのか
ところで、とある争点について裁判官が一度判断を示したことがあるのであれば、それ以降に行われる裁判でも、同じ争点をめぐっては同様の判断がなされるのではないか、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
最高裁判所がある争点について判断をしたことがある場合は、それ以降の裁判でも同様の判断が示されると考えてよいですが、最高裁判所が判断をしたことがない争点については、裁判所ごと(裁判官ごと)に判断が割れるケースもあります。
もちろん、諸々の事情が全く同一の裁判というのはありませんので、単純に比較することはできないのですが、とある争点について裁判官ごとに考え方が違うことはあり得るのです。
3 貸金業者から過去の裁判例を示されても勝てる可能性はある
過払い金の請求をしようとすると、貸金業者からは、貸金業者側に有利な判断が示された過去の裁判例を示されることがあります。
まずは、その裁判例とこれから行う過払い金の請求が同種の案件であるかどうかを確認する必要がありますが、仮に同種の案件だとしても、上述のようにあくまで“その裁判所(裁判官)はそう判断した”にすぎないのです。
つまり、裁判官によって判断が分かれるような難しい争点なのであれば、こちらに有利な裁判例も存在することが予想されますので、貸金業者から不利な裁判例を示されたからといって、そこで請求を断念してしまう必要は全くないのです。
まずは、過払い金の請求に慣れた弁護士に相談し、請求を行った場合の見通しを確認するべきでしょう。